『西陣織 唐織 草木染 千色千羽鶴 山口成織物』
『西陣織 唐織 草木染 千色千羽鶴 山口成織物』全通 袋帯 本金箔使用昭和63年、先代が病に伏した時、その快復を願って制作しました。昭和63年のある日、当店の図案を手掛けていた2番目の弟が、先代の快復祈願として千羽鶴の帯を作ることを提案してくれました。そこで、当店の草木染等担当者であった1番目の弟が、草木染で千色を染め上げ、袋帯約1丈1尺6寸全体に千羽の折り鶴を配し、その鶴一羽一羽に異なる配色をした『千色千羽鶴』を制作する事にしました。最初に織る鶴は、1番目の弟のこれまでの染色人生の中で一番美しく染め上がった阿波藍の絹糸を、一番最後に織る鶴は、先代が愛したコーヒー豆から染めた絹糸を使用する事にしました。染め上がった極細絹糸千色を、当店自慢のベテラン糸繰り職人さん達ががきれいに引き揃えて撚り合わせ、当店自慢のベテラン織人さんが、千色の糸を気の遠くなるような時間をかけて丁寧に織り分けながら完成させてくれました。残念ながら先代は完成を見ずに旅立ってしまいましたが、従業員皆が一つの願いを込めてこの『千色千羽鶴』を完成させたことが、その後を継ぐ私の背中を押し、大きな希望となってくれました。